2010年12月アーカイブ

関ケ原ウォーランドは、浅野祥雲さん作の武将像が約200体林立する、最大のアサショーワンダーランドです。

同園では、メンテナンスをかねて数年に一度、作品の塗り直しを行っています。

昨春から進められていた塗り直しが、今シーズンは冬を前にひとまず打ち止めと聞き、成果を見に行ってきました。

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おぉッ! 何というカラフルさ!!

 と、これが想像以上に力が入ったペイントぶり! 冬晴れの青空の下、カラフルにお色直しされた武将像たちが屹立する様は圧巻です。

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同じ人物とは思えません。


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しかも、一体一体つぶさに観察していくと、仕事が実に細かい細かい! 


細い筆を使ってしわの一本一本が描かれ、さらに何と目玉の放射線までが丹念に書き込まれているではありませんか・・・・・!! 

 








おかげでこれまでマンガちっくだった像の表情は一転、劇画調に。

バカボンだと思って読んでたらいきなりゴルゴ13が登場、くらいの落差です。


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今回の塗り直し作業が始まった昨年春に訪れた時は、看板屋のオジさんが家康の陣を塗り替えていたのですが、これは正直、顔の描き方がかなり稚拙でした

→ 右が塗り直し作業スタート当初の塗り替え完了作品。 最新の劇画タッチとは明らかにクオリティが違います


館長さんがさすがにこれではマズイと思ったのか、その後塗り師が交代し、一転して超念入りな描き込みがなされたようです。

 

塗り直しが完了した作品はざっと見たところ半分ほど。来年春から作業再開の予定だそうですが、来シーズン中に全部塗り替えできるんでしょうか・・・・・?


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拙著の表紙の稲葉貞通像も 全然違うお顔になってました



ちなみに筆者は塗り直される前の2年前にも全作品を撮影しているのですが、今回せっかくなので再度コンプリートに挑戦。

合戦の真っ只中に放り込まれたような目まいに襲われながらも、5時間がかりすべての像の撮影&立ち位置のチェックを完了!

これで園内マップ完全版も作成できます!

どこか奇特な出版社の方、いかがでしょうか?


昭和24年の五色園のカラー写真に遭遇しました!

これはアメリカ軍属のウィリアム・S・ペリーさんが撮影したもの。無線技師として来日したペリーさんは、名古屋および周辺地域の風景をカラー写真に収め、その中に五色園の写真もあったのです!

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この当時、国産のカラーフィルムはまだなく、カラー写真自体が非常に希少。昭和24年というと五色園が昭和9年に開園した15年後ですから、ここに写されているのは、おそらくオリジナルカラーのままの姿だと考えられます!!

→ 如来に寄り添うように腰を下ろしているのがペリーさん



園には当時の写真は残っておらず、もし仮にどこかに保管されていたとしてもカラーはありえませんから、この2点は五色園の祥雲作品のオリジナルの姿を伝える唯一の画像資料と言ってほぼ間違いないでしょう!!!

 

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この写真と現在の姿を見比べてみると


    現在はほぼ黒一色に塗られている僧侶像の法衣が、実は黄色や水色などカラフルだったこと

    お坊さんの剃髪した頭は青白く、顔の肌色と塗り分けられていること

    如来のカラーリングは現在の水色&金ピカより渋めであること

    寝込みを襲おうとしている夜盗の腕は、本来もっと短かく、破損した後に付け替えられていること

 

・・・・・などが分かります。


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これは今後の修復活動にとって、きわめて貴重な資料となることは間違いありません。

 


国内でペリーさんの写真を保管し、今回資料提供してくださった名古屋市の岡崎茂さん、岡崎さんを筆者に紹介してくださった名東図書館の藤本昌一さん、ありがとうございました!