4月25日・26日に行われた熱海城の祥雲作品修復活動、無事終了しました。
駐車場奥に並べられた十二神将11体(1体は行方不明)と、普賢菩薩、文殊菩薩合わせて13体をきれいにお色直しできました。
熱海城には天守閣の金鯱をはじめ約40体の祥雲作品が現存します。特に十二神将は劣化が激しく、私は修復プロジェクトを立ち上げた当時から、施設に活動の案内を送り、また何度か顔を出しては修復の必要性を訴えていました。施設の方々も理解を示してくれ、時間をかけて社内の意見を取りまとめてくださり、今回の活動開催にいたったのです。
対象作品は長い間手つかずで、塗料の剥がれや細部の破損が目立ちました。監督の日比野塗装店さんが欠落していた独杵を制作しておいてくれるなど、事前に入念な準備が不可欠だった上、モルタル補修や多彩な調色など、現場での迅速な対応も要求されました。
欠損していた独鈷杵は事前に作成しておき、取り付けて修復→
また、祥雲作品の中では珍しく完成当時のカラー写真が残っているため、できるだけその当時の色を再現するよう配慮しました。
参加者は2日間で約50名。活動拠点の愛知からは遠方だった上に、これまでの五色園、桃太郎神社と違っていわゆる"ご近所さん"がいない施設だったこともあって、集客面では思いの外苦戦しました。
象さんはチビっ子たちがぺたぺた→
それでも、常連の参加者に加えて、関東方面からの初参加者、飛び入りで参加してくれた観光客の方々もあり、祥雲作品と普段あまり接することがない人にも作業に加わっていただけました。
幸い天候に恵まれたおかげで何とか作業は予定通り完了。修復前の状態が劣化が激しかったため、より劇的に生まれ変わりました。
経営元のミナックスさんによると、祥雲さんに製作発注したオープン当時のオーナーは10年ほどで城を手放してしまったとのこと。そのため、ミナックスさんでは、城の周りに立ち並ぶ仏像の数々がなぜ存在するのか分からず、長年持て余してしまっていたそうです。しかし、今回、ご遺族の日比野塗装店さんやボランティアの手によってきれいに塗り直されたことに大変感激してくださり、今後施設内の作品群の処遇を見直すきっかけにしたいとおっしゃってくれました。
これからも施設の方々や思いのある人たちの手によって、祥雲作品が長く愛され、守られていくことを期待したいと思います。
最後にあらためて、今回の修復に携わって下さった皆様、本当にありがとうございました!
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